「南京大虐殺文書」記憶遺産登録の裏に、
国連トップの座をめぐる陰謀説も
今月十日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産に、中国が申請していた「南京大虐殺文書」が登録された。
南京大虐殺(南京事件)とは、一九三七(昭和一二)年、日本軍が当時の中華民国の首都・南京市を占領した際、約二ヵ月にわたり老若男女を問わず「三〇万人」もの南京市民(便衣兵、捕虜を含む)を無慈悲にも虐殺した――、と中国が主張しているジェノサイドのことだ。
今回の登録は、左翼一部の人を除き、多くの人が首を傾げただろう。何故なら、南京「大虐殺」など無かったことが多くの研究で明らかになっているからだ。
私は、南京「大虐殺」はなかったが、日本軍が南京市入りをした際、数字はわからないものの、いわゆる便衣兵に対する、ジュネーブ条約に違反しない、数千人規模の死刑執行はあっただろうとは考えている。そのため、世界記憶遺産に登録されはしたが、中国当局の言う三〇万人もの「大」虐殺は明らかな捏造である。すなわち、南京市における日本軍の「悪行愚行」は、中国政府がシナリオを作り中国当局がまき散らした嘘なのだ。言うなれば、今年九月に催された「抗日戦勝記念」軍事パレードと同じだ。
中華人民共和国は、悲しいかな、日本軍と戦っていない。日本軍と戦ったのは蒋介石率いる国民党軍で、国共合作後の中国共産党は日本軍との戦闘は国民党に任せっ放しで、自らはせっせと党の体制づくりに励んでいた。戦ってもいないくせに「抗日勝利」と叫ぶあたり、ありもしない大虐殺をあったと主張するのと同じだ。
ちなみに、中国メディア『新華網』が先月報じたところでは、
「歴史家の王鼎傑氏は、『共産党軍は一日に何十回も、ときには一〇〇回近く日本軍と戦闘になることもあり、日本軍を恐怖に陥れた』と述べ、四六時中日本軍と戦っていたと主張した。
ついでの話をすると、大韓民国の朴槿恵大統領も「戦勝国」の代表として抗日戦勝パレードに出席したが、とても悲しいことに、韓国も抗日戦勝国ではないのだ。サンフランシスコ講和条約が締結されたとき、韓国はアメリカに泣きつき、お願いだから私たち朝鮮民族も「戦勝国」に入れてくださいよぉと懇願した。が、大戦時、あなたたちは「日本人だったでしょ」と戦勝国入りを一蹴されている。韓国は日本と戦ったどころか、日本人だったのだ。だから「戦勝国」なんてとんでもない話なのだが、朴大統領はしれっとすまし顔でパレードに参加していた。お父さんに教えてもらわなかったのかな。朴パパこと故朴正煕(パクチョンヒ)元韓国大統領の日本名は高木正雄さんですよ。
もうひとつ、ついでの話をしておくと、サンフランシスコ講和条約締結の際、韓国は独島(韓国での名称:竹島のこと)を韓国領と認めてくださいよぉとアメリカにお願いしたが、ラスク書簡(領土問題に関するアメリカ側の返答)で「竹島は日本の領土ですよ」とこちらも一蹴されている。いまだに韓国はラスク書簡は無効だ、独島は韓国領だと言い張ってますけどね。
韓国は慰安婦たちは強制連行されたと延々と嘘をつき続け、中国は南京大虐殺があったという嘘を延々とつき続け、そして今回の記憶遺産登録にこぎ着けた。 すると、たいへん困ったことに、世界が中韓の嘘を信じてしまうのである。
ケント・ギルバート氏は楽観的にこう言う。
「私は、今回の件で日本が被ったデメリットは、プライドが傷つけられたことぐらいで、むしろメリットのほうが大きいと見ています。中国が提出した証拠をひとつずつ反論して潰していけばいいのだから、議論しやすくなったと言えます。中国が国ぐるみでウソつきだということを世界にアピールするチャンスをもらったわけです。
今回の南京大虐殺文書の登録が実現したのは、日本の信用を貶めようとする中国の企みと、来年末に行なわれる国連事務総長選挙への出馬を考えているイリナ・ボコバ事務局長(世界記憶遺産は国際諮問委員会の審査の後、ボコバ事務局長が登録を決定)の思惑が一致したから――、との見方もある。外信部記者が言う。
「彼女の頭にあるのは、来年末に控えた国連事務総長と言って間違いありません。歴史的な評価や事実認定が定まらない案件の世界記憶遺産登録はきわめて異例ですが、それを強行したのは、彼女が中国を味方につけたいと考えたからに他なりません」
次期国連事務総長にはすでに数人が立候補を表明しているが、その最有力候補がブルガリア出身のボコバ氏なのだという。東欧出身の事務総長はいないのだそうだ。
が、このボコバ氏、ちょっとキナ臭いのである。
ウィキリークス英語版に書いてあるのだけれど、父親がブルガリア共産党機関誌の編集長をしていただけあって、彼女も若いころからのコミュニストのようだ。モスクワ国際関連大学に学んだブルガリア共産党の党員だった。
現在の国連事務総長は「国連は中立な機関ではない」と言い放ち、国連史における「最悪の事務総長」「やる気と学ぶ姿勢に欠ける」「能なし」と揶揄される藩基文氏だ。次の韓国大統領選に出馬すると言われている人物だが、事務総長という立場にありながら、藩氏は中国の軍事パレードに出席した。
それだけで藩事務総長の偏りがよくわかるが、その軍事パレードに夫婦で出席していたのが、藩氏の次の事務総長になろうかというイリナ・ボコバ氏だった。次期総長の椅子を狙っていながらこれはどうかとは思うが、国連内部でもボコバ氏の「親中ぶり」はつとに有名なのだという。
〈つまり、ボコバ氏は中国が事務総長選挙で、自分に拒否権を発動しない代わりに「南京大虐殺文書」の世界記憶遺産への登録を認めるという“裏取り引き”を行なったと疑われているのだ〉
「(事務総長の)立候補者は一九三の加盟国代表が出席する総会での質疑を経て、安保理で一人に絞られます。その際、米、英、仏、露、中の常任理事国だけが“死のキス”と呼ばれる拒否権を保有しており、この一ヵ国でも反対すれば承認はされません」
冷戦後、ブルガリアはNATOに加盟し、欧米に強く依存してきたために米、英、仏が反対する可能性は低いとのこと。中国は間違いなく無条件で賛成。ロシアも、昨年三月のクリミア編入で経済制裁を受け、いまでは中国が天然ガスの大きな取り引き相手となっており、中国が賛成すればロシアも追従するだろうとの見方が強い。
次の国連事務総長は、イリナ・ボコバ氏でほぼ本決まりだ。共産党員だった経歴の持ち主が国連事務総長などになってもよいものなのだろうか。ましてや、中国べったりで裏取り引きをしたかもしれないようなグレーな人物が。
世界記憶遺産は、後世に残すべく必要性を認められた歴史的な記録物の登録事業だ。日本も山本作兵衛が描き残した筑豊の炭坑画や『舞鶴への生還 1945―1956 シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録』『東寺百合文書』などが登録されている。
そこに韓国は「慰安婦関連資料」を登録しようと国際連帯委員会を設立し準備を進め、中国は今年「南京大虐殺文書」を申請し登録が許された。
ありもしないものをあたかも事実のように申請する厚かましさには呆れるし、怒りが湧くが、日本を貶めるため、そして栄達のため次の事務総長になるための引き換えに、人類の文化を利用する浅ましい連中だけは許してはならない。
ユネスコ憲章が前文で謳う「平和の砦」が聞いて呆れるぜ。