国連事務総長の潘(パン)基(ギ)文(ムン)も影が薄かった。国連の中立性を失うとして、軍事パレード参観に批判の声が上がっていたにもかかわらず、潘は出席した。韓国の次期大統領選に向けた布石と見る向きもある。そんな潘に与えられた天安門楼上の位置は習の右側5番目。カザフスタン、ウズベキスタン両大統領よりも端だった。
ばつの悪いことに、参観者の中には、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているスーダン大統領のバシルもいた。ダルフール紛争をめぐる戦争犯罪などに問われたバシルに対し、逮捕状執行に向けた手続きを取るよう、加盟国に要請していたのはほかでもない潘自身である。
ICC非加盟とはいえ常任理事国の中国が事務総長の要請を本人の目前で黙殺、国連トップの権威はないがしろにされた。
それでも潘は3日の習との会談で、「とても素晴らしかった。中国人民の平和を守ろうという願いが示されていた」と一連の抗日戦勝記念行事を絶賛した。
朴にしても潘にしても、反対・慎重論を押し切って軍事パレードに参観した割には、目立たない形で終わった。しかし、むしろその方が好都合であるような事態にそれぞれの、いびつな対中関係が見て取れる。