「台湾は既に独立している。」
中国はこれまで絶対に譲ることができない国益と主張する「核心的利益」の領土保全の対象として、台湾、チベット、新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)、南シナ海、そして習近平時代の2013年4月になって尖閣諸島を組み込んだ。
すでにチベットと新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)は中国の手中に落ちている。南シナ海でも7つの島を埋め立て、すでに3,000メートル級の滑走路まで作って着々とその覇権を立てていることは周知の通りである。
しかし、台湾はどうか。中華人民共和国が建国されてから、台湾はこれまで一度たりとも中国の統治下に入ったことはない。
台湾はすでに1991年11月にアジア太平洋経済協力(APEC)に加盟し、2002年1月には中国から遅れること半年で世界貿易機関(WTO)にも加盟してる。今年の8月25日には北太平洋漁業委員会にも加盟した。
APECや北太平洋漁業委員会は「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」、WHOは「台澎金馬個別関税領域(台湾、澎湖諸島、金門及び馬祖から成る独立関税地域)」という名称で加盟しているが、中華人民共和国とは明らかに異なる政治・経済実体として加盟している。2013年10月に「世界選挙機関協議会」に加盟したときは「台湾(Taiwan,R.O.C.)」という名称で加盟が認められている。
今年9月半ばの国連欧州本部パスポート事件で明らかになったように、国連でこそ「台湾は中華人民共和国の一部」という扱いになってはいるものの、他の国際機関では中国の一部という扱いになっていない現状が厳然とある。
日本は台湾を「非政府間の実務関係」と位置づけているが、近年、都市間提携や鉄道関係の提携、修学旅行や姉妹校提携などの教育交流で実にめざましい動きが続いている。総じて言えば、台湾を中国とは明らかに異なる政治・経済実体として認めなければできない提携を積み重ねてきている。
さらに、10年前の2005年9月に台湾からの観光客に対するビザ免除を恒久化して以降、日本は在留カード(法務省入国管理局)や外国人住民票(総務省)、修学旅行先統計(文部科学省)、住民票(全国自治体)などでは、台湾と中国を厳然と区別している。
つまり、台湾を主権国家、すなわち独立した政治・経済実体と実質的に認めているからこそできる措置なのだ。
李登輝元総統はこれまで何度も「台湾はすでに独立している」と述べてきた。一昨日も、あるラジオ番組に出演する前、報道陣に「私はこれまでに台湾は独立すべきと言ったことはない。台湾は
既に独立している」と述べたという。中央通信社が伝えているのでご紹介したい。
なお、中国が「核心的利益」と主張する尖閣諸島は、これまで一度たりとも中国の領土だったこ
とはない。中国が歴史を捏造して尖閣諸島を核心的利益と主張した際、安倍晋三総理が「日本固有の領土である尖閣諸島について、わが国は一切譲歩しない」と表明している。
当たり前と言えば当たり前だが、なんとも心強いリーダーとしての発言だ。