ニカラグア運河建設反対、首都マナグアで大規模な反中デモ
「環境を破壊する中国人はでていけ」と抗議。コスタリカも疑問の声
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ニカラグア運河の工事はすでに始まっている。総工費500億ドル(六兆円)、2019年完成を目ざすと工事推進の中国企業は豪語する。
6月14日、ニカラグアの首都マナグアに「建設反対」「環境破壊」「豊かな自然の湖沼が汚染され生態系が変わる」「中国人はでていけ」「国益を売ったオルテガは売国奴」と叫ぶ、「反中国」を鮮明にした抗議デモが行われた。
デモに駆けつけたのは15000名、昨師走の農民デモ以来、二回目の反対抗議行動だが、こんどはオルテガ政権の牙城、首都のマグアナで行われ、予想以上の規模に膨らんだので、世界のメディアが報じた。
農地を没収される農民が騒いでも、それほどの騒ぎにはならなかったが、今回は人権団体、環境保護団体などが参加し、反政府の色彩が濃くなった。
オルテガ政権の推進する親中路線に「中国人はでていけ」というスローガンは、真っ向から反対するからだ。
ニカラグア運河は中米のど真ん中を東西に貫通させ、278キロの平均水深を30メートルとする。
40万トン級の大型タンカーも通過できるという大工事だが、すぐ南のパナマ運河との競合になるうえ、パナマ運河は現在、拡張工事中だ。
米国は自分の中庭に最大の競合相手が登場することになり不愉快千万、しかし露骨な抗議をしないのは、どうぜニカラグア運河は完成しないだろうと踏んでいるからではないのか。
この話、どうも怪しいのである。
工事主体は香港の「ニカラグア運河開発(香港)投資集団」という会社だが、資本金に乏しく、継続資金をいかに調達するかのメドもないままに起工している。3万人の農民が立ちのかなければならないのに、いまだに補償金交渉がまとまらない。
背後にあるのは中国政府だろうが、ダミー企業を駆使して中南米諸国とアメリカの反応をみているフシがある。
工程中、およそ100キロは淡水湖だが、タンカーが通過したら汚染されるため、生態系破壊は目に見えており、英国の環境資源管理会社の調査報告がでないうちに中国企業が起工したのも疑問なら、「環境汚染の調査を最初から無視したやり方には疑問を抱く」と隣のコスタリカ政府までもが懸念を表明した。
当該「ニカラグア運河開発(香港)投資集団」を率いるのは王靖という人物だが、いったい何者なのか、謎につつまれたままなのである。
その一方で、中国の正式な国有企業「中国港湾皇帝責任有限公司」(CHEC)は、ニカラグアではなくパナマ運河拡張工事に参加を表明しており、また160億ドルの融資を提示している。
奇々怪々である。